Design, Architecture and Law

Arts and Law(以下、AL)と東京アートポイント計画は、2011年12月17日、アートのためのキャリア支援プログラムの第2弾のひとつとして、建築やデザインに関わる勉強や仕事をされている方を対象に、「Design, Architecture and Law デザイン・建築の法的問題、そしてオープンソース時代における「ものづくりのルールについて考える。」を3331 Arts Chiyodaにおいて開催しました。

今回ゲストに来ていただいたのは、建築家の吉村靖孝さん、FabLab Japanの田中浩也さんのお二方です。

なぜこの二人?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかとは思いますが、それはモデレーターをつとめる水野祐(弁護士/AL所属)が、吉村さん、田中さんがそれぞれの活動において同じような課題を抱えているように感じ、お二人に議論してもらうことで建築・デザインにおける現代的な課題を浮き彫りにできるのではないかと考えたことから、今回の企画に至りました。

まずは、吉村さんと田中さんの自己紹介、ならびに現在の活動の紹介をしていただきました。



吉村さんは、最近では建築の設計図をCCライセンスによってシェアすることや、エクスコンテナというコンテナを利用した住宅によって被災地を支援する活動などをご紹介いただきました。自らが手がける建築を、動産/不動産という観点からプレゼンテーションしていただきました。
一方、田中さんは、3次元プリンタやカッティングマシンなどの工作機械を備えた、誰もが使えるオープンな市民制作工房によって、ものづくりのオープンソース化をしデザインの共有をはかるFabLabの活動の概要について、実例とともにわかりやすくご説明くださいました。
建築、デザインの分野において、従来にない活動をされているお二人の活動紹介はとても興味深く、「簡単な自己紹介」にはとどまらないほど聞き入ってしまいました。

次に、モデレーター水野が、プロダクトや建築などの実用品のデザインの法的問題や、今後のものづくりのルール・メイキングについてプレゼンをしました。著作権法、意匠法、両者の関係、不正競争防止法や商標法の活用について、基本的な知識を簡単に説明させていただきました。

そして、本日のメインテーマでもある「オープンソース時代における『ものづくり』のルールについて考えてみる」と題し、三人での議論が始まります。


デザインにおけるオープンソースの可能性、その前提としてクリエイティブ・コモンズ(以下、CC)のライセンスについて説明をした上で、具体的に吉村さんが取り組む「CCハウス」の試みについて語って頂きます。

吉村さんが考えるCCライセンスの長所は、「著作権があることを明示・主張しながら、それを一部又は全部放棄し、著作物の利用を促進するところ」。大量生産である一般的な建築には著作権による保護は原則認められないところ、一品制作の建築に著作権を主張しながら、その図面を無料で公開し、改変可能なものとすることに将来性を見出せないか、と考えられているとのことです。
「いかにして創作の連鎖をおこしてくのか」という課題のために、初期設定としてCCライセンスを活用するという「ルール」の可能性がひとつ、みえてくるのかもしれません。

ただ、建築において設計図をシェアするには、CCライセンスで問題がないかもしれませんが、デザインにおいて一般的にCCライセンスが適合するかといえば必ずしもそうとは言い切れません。
では、CCライセンス以外にデザイン・建築分野にふさわしいオープンライセンスはあるでしょうか。その一つの答えとして、FabLab Japan内の活動であるFabCommonsは、CCライセンスとは別のデザインにおける新しいライセンスを考えてみようという試みをしています。すなわち、CCライセンスではカバーしきれない材質、色彩、素材、強度といったデザイン特有の要素をライセンスしようという提案です。

その他にも、プロダクトと建築の違いや、二次元情報と三次元情報の相違、建築における施主や工務店の役割・可能性などの興味深い話がたくさんありました。

今回のセミナーにあたり、モデレーター水野が準備したパワーポイントは、オープンソースというテーマに即してシェアをすべく、以下の場所からご覧いただけるようしております(もっとも、当然のことながら、セミナー当日は、ゲストお二人から、このパワーポイントに記載のないような有意義な話がたくさんあったことは言うまでもありません)。

セミナー後には、毎度恒例の有志による懇談会。吉村さん、田中さん含め、多くの方にご参加いただき大変盛り上がりました。
ありがとうございました。