アートと経理‬ ‪-現場のための経理処理ワークショップ 基礎編


2011年2月に開催した「造形・美術作家のためのTAX講座」に続いて、今回は特にアート・クリエイティブ系のNPOや文化芸術関連団体の経理担当者の方に向けたセミナーを開催しました。 



講師の山内は、アート・クリエイティブ業界では、事業の性質を理解しながらも経理としてプロフェッショナルに働ける人材を育成する仕組みがまだまだ不足している、と感じてきました。そもそも組織や団体内の数少ない人材の中で、他の業務と兼任してどうにか経理をまわしているケースも少なくありません。また、経理を担当する人材が専門家にアクセスできる機会も十分でない、と感じており、そういう状況が他の分野に比べて切実だと感じていました。そこで今回は、より具体的な取引事例にフォーカスし、現場で日々奮闘される経験者のため特別に準備することに。 

当日は、現場での特有の事例、例えばイベントの企画・運営やデザイン関連・制作の受発注など、業界で発生しがちな取引を紹介しながら、その問題解決に不可欠な知識をまずレクチャー形式で整理。その後、具体的な経理処理作業をワークショップ形式でおこない、ぐぐっと理解を深めるという、経理関連のセミナーでは珍しい「体感する経理」の講座となりました。経理経験が1年以上ある方を対象としていたので、何しろ参加者の方々の知識・経験レベルが高かった!前回のセミナーで聞かれた素朴な質問は一切なしの会場内は、ちょっとした専門ゼミのようでした。ご参加いただいた中で、今後この業界の経理業務に携わりたい方、将来独立を考えていらっしゃる経理初心者の方々には、細かく丹念な積み上げ作業に少々面食らったでしょうか? 



さて、レクチャーからワークショップに進む中、具体的な処理内容に入るほど皆さんかなり悩まれていた様子。というのも、各処理がケースバイケースな上に各個人・団体・会社によってきめ細やかな対処が求められるからです。そこで講師が個別に質問を受け付けると、各所で「あ~わかった!なるほど!」という姿がぞくぞく。嬉しい反応です。まさにこの感覚を味わっていただきたかった!こうやって日頃の疑問を直接ぶつけられるのも、ワークショップ型セミナーの良いところ。そのほか、「自分に足らない部分がどこか整理できてよかった」、「今まで曖昧にしていたことが解消されて不安がなくなった」などなど、ありがたい反応をたくさんいただきました。 

やはり、今まで業務の一環で経理処理には携わっていたものの、意外とその作業の理由や約束事などの基礎知識を知らないまま過ごしてきた方、多いですよね。しかも今まで得た知識を整理したり確認したりすることが叶わない環境の方もまた多くいらっしゃる。しかし一方で、この業界のことを熟知していてなおかつ経理に精通している人材を、どこの団体や企業でも強く求めているのです。そんなパラドックスな状況を解消できる仕組みづくり、これからもっと考えていきたいですね。



今回は、配布したレジュメや資料も講師が一から作り上げた完全オリジナルなものだったこともあり、他ではなかなか聞くことのできないユニークな講座になったかと思います。今後、この講座からお持ち帰りいただいた感覚や資料が、経理への苦手意識・不安などを少しでも解消するお役に立てたらとても嬉しいです。 
アンケートのお答えの中には、経理について、さらに具体的かつ専門的な内容を期待していただいた方が多かったので、次回はそのあたりもふまえた面白い企画、考えていきたいと思います。 

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。おつかれさまでした! 

当日の様子1

当日の様子2

当日の様子3

当日の様子4



当日の様子5

講師:
山内真理
公認会計士・税理士

1980年千葉県生。一橋大学経済学部卒。
大手監査法人で法定監査、株式公開支援等に携わった後、独立。アート・クリエイティブ系ベンチャーの育成や個人クリエイターを取り巻く周辺環境の整備に力を入れている。